軽い運動でメンタルヘルスの不調が改善! 心の健康を保つために知っておきたい基本情報とメカニズム
健康コラム

軽い運動でメンタルヘルスの不調が改善! 心の健康を保つために知っておきたい基本情報とメカニズム

2024/12/25
「ストレス社会」と呼ばれる現代で、メンタルヘルスの不調を抱える人は年々増加傾向にあります。社会的にもメンタルヘルスの重要性が広く認知されるようになり、専門の医療機関を受診する人が増えているようです。メンタルヘルスの不調は誰の身にも起こりうるもの。今回は、メンタルヘルスケアの基本や、健全なメンタルヘルスを保つための運動法をご紹介します。
「ストレス社会」と呼ばれる現代で、メンタルヘルスの不調を抱える人は年々増加傾向にあります。社会的にもメンタルヘルスの重要性が広く認知されるようになり、専門の医療機関を受診する人が増えているようです。メンタルヘルスの不調は誰の身にも起こりうるもの。今回は、メンタルヘルスケアの基本や、健全なメンタルヘルスを保つための運動法をご紹介します。

精神疾患の患者数は約20年で倍以上に! メンタルヘルスの現状とは

精神疾患を持つ患者数は、2002年~2020年の約20年の間で2倍以上に増えました。仕事が原因でうつ病などの精神障害を発症して、労災と認定された人は2023年度に過去最多となるニュースもあり、「ストレス社会」を物語る結果が出ていることがわかります。

一方で、精神疾患にかかる人が増えたのではなく、精神科や心療内科などメンタルヘルスの医療機関を受診する人が急激に増加したことによって、患者数が増えたのではないかとの見解も。実は昔から多くの人が抱えていたメンタルヘルスの不調や精神疾患が、最近になって表面化されてきた結果とも考えられます。

メンタルヘルスの不調は、人に言いづらく一人で抱え込んでしまう人もいるはず。ですが、悩みを人に相談することは恥ずかしいことではありません。体の病気と同じように心の不調もケアをすることが何よりも大切です。どうしようもなく心が辛いと感じたら、すぐに医療機関に相談し、適切な治療を受けましょう。

 

メンタルヘルス不調を放置すると起こる危険は?

心身ともに症状が出ている人のイラスト

厚生労働省の定義によると、メンタルヘルスの不調は、うつ病やパニック障害、適応障害、依存症など、日常生活が困難になるような重度な精神疾患だけではなく、心に悩みや不安を抱えた状態も含まれます。

小さな不調を「これくらい大したことはない」「みんなも同じ辛さを抱えているはず」と放置することは禁物。うつ病など、日常生活に支障をきたすほどの辛い心の病気に発展する危険性があり、回復に長い時間を要することになる可能性があります。

キャパオーバーな状態に陥ると、心身ともに様々な症状が現れます。
 

心の症状

ささいなメンタルの不調だと思っていても、以下のような心の症状が出た場合は危険な状態です。

  • 何事にも興味がなくなる
  • 趣味や遊びをする気が起きなくなる、楽しめなくなる
  • 脈絡なく突然涙が出る
  • なんとなく不安になったり、焦りを感じたりする

週末に映画を観るのが好きだったのに、最近はどうも観る気が起きない。好きな音楽を聞いても何も感じない。「なにかやらなきゃ」と実体のない焦りを感じるが、ベッドから起き上がれない。このような心の動きはすべて、心と体からのSOSです。

また、人と会うのが億劫になることで人間関係が希薄になってしまったり、休学や休職にまで発展したりすることもあります。

 

身体的な症状

感情や気力だけでなく、体の痛みや違和感として症状が現れることもあります。

  • お腹の調子が悪くなる
  • 頭痛が続く
  • 腰や背中に痛みが出る
  • 安静にしているのに、ドキドキと動悸がする
  • 食欲がわかない
  • うまく眠れない

なかには、うつ病の症状として身体的な不調が現れているにもかかわらず、内科や整形外科を受診して、原因不明のまま経過してしまう、という人も少なくありません。

身体的な症状の悪化により、さらにメンタルヘルスの不調をきたしてしまう恐れもあるため、些細な症状でも無視はNG。メンタルヘルスの不調と身体的な症状は、結びついている可能性があることを覚えておきましょう。

 

メンタルヘルスケアに「運動」が良いのはなぜ? 効果のメカニズム

メンタルヘルスの不調は、恐怖や不安などのネガティブ感情を処理する脳の部位「偏桃体」の過活動が原因の一つ。日々のストレスや、寝不足、不摂生などによって、扁桃体の活動をコントロールする海馬や前頭前野の働きが悪くなると、ネガティブな感情の制限が効かなくなるのです。

そんな脳の働きを改善するのに効果的なのが運動です。運動をすることで、脳の神経細胞を活性化したり、再生したりするタンパク質が生成されるほか、脳の血流も増え、脳全体の働きが良くなります。

そうすることで、偏桃体もコントロールできるようになり、メンタルヘルスの不調が起こりにくくなることにつながります。

前頭前野と扁桃体のイラスト

 

健康なメンタルを維持する運動方法は?

メンタルの健康を維持するためには、日常生活に有酸素運動をプラスすることが効果的です。有酸素運動をすることで落ち込みや不安を和らげる働きのあるセロトニンが分泌され、精神の安定につながります。

疲れてしまうハードなトレーニングよりも「スッキリした」と感じる程度の運動であることが重要です。まずは、1日20分程度を目標に軽いウォーキングから始めてみましょう。

デスクワークが多い人は、こまめに立ったり、階段を使ってみたり、体を動かす時間を意識的に増やす心がけも大切です。

軽い運動しているイラスト

 

加えて、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を低下させて、心身をリラックスさせてくれる筋トレもおすすめです。有酸素運動と短時間の筋トレを組み合わせることで、さらなるメンタルの健康維持効果が期待できることもわかっています。

1回の運動量を増やしてがんばるよりも、続けることが重要です。自分の体力に合わせて、日常的に体を動かすことを優先して考えてみましょう。

また、メンタルヘルスの不調を予防するためには、週に21~31時間程度の「身体活動」を行うのが良いとされています。身体活動とは、安静状態よりも多くエネルギーを消費する動作のこと。家事や立ち仕事、歩行、軽い運動なども含めた、体を動かしているすべての合計時間です。やりすぎると逆に良くないため、1日3~4時間程度を意識しましょう。

しかし、気持ちが非常に落ち込み、運動したい気分ではないときは無理して運動するのは厳禁。「運動しなきゃ」という焦りもまた、メンタルヘルスに悪影響を及ぼします。動けないほどやる気が出ない日は、「したくないことをしない」を心がけてくださいね。

 

「自分は大丈夫」と過信せず、心の健康に注目を

メンタルヘルスの不調は、症状を正しく自覚することが難しく、気付かない間に日常生活の質をどんどん低下させていきます。「自分は大丈夫」と過信せず、身体的な健康だけでなく心の健康にも意識を向けてみてください。

体を動かすことは、今日からでもすぐに始められるメンタルヘルスケアのひとつ。無理のない範囲で、少しずつ生活に取り入れてみましょう。

 

<参考>

平成30年版 厚生労働白書 -障害や病気などと向き合い、全ての人が活躍できる社会に-

今後のメンタルヘルス対策

こころもメンテしよう ストレスのサイン

プラス「10」分のウォーキングから始めるストレス対策

健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023〈筋力トレーニングについて〉

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