
ストレッチ(ストレッチング)とは、筋肉や関節の柔軟性を高めることを目的にした運動です。
運動前の準備運動(ウォーミングアップ)としてケガを予防する、運動後の整理運動(クーリングダウン)として疲労回復の手助けとなるほか、筋肉や関節などの疾患の治療やリハビリとしても活用されています。
ストレッチによって筋肉や関節の柔軟性が高まると、筋肉のもつポンプ作用がうまく働くようになるため、全身の血行が良くなります。すると、酸素や栄養素が体中に行き渡りやすくなり、基礎代謝や新陳代謝が上がるほか、疲労回復も早くなるため、肩こりや腰痛などの予防や軽減にもつながります。
筋肉も関節もしなやかさは加齢によって日に日に衰えてしまうもの。日々の疲れを長年そのままにしていると、疲労が蓄積して、いつの間にか体は柔軟性を失っていきます。ストレッチを習慣化することは、体をメンテナンスする上でとても重要です。
また、長時間のデスクワークなどで同じ姿勢をずっと取り続けている環境では、全身の筋肉が緊張して硬くなっている人も少なくありません。ストレッチは、広い場所や道具を必要とせずとも、凝り固まった筋肉を手軽に緩めることができる手段であるほか、メンタル面のストレス解消法としても注目されています。
ストレッチは、その動きの特徴により、次の2種類に大別されます。
反動やリズムをつけた動きで、筋肉を縮めたり伸ばしたりを繰り返すストレッチのこと。筋肉や関節の柔軟性を高めて可動域を広げるストレッチを取り入れながら、並行して筋トレを続けると、バランスよくしなやかな体つきになります。運動前の柔軟体操などにもおすすめです。
反動をつけずにゆっくりと一定方向に筋肉を伸ばし、その状態でしばらく静止するストレッチのこと。深呼吸をしながら行うことで、副交感神経の働きが高まり、リラックス効果が期待できます。運動後の整理体操やリラクゼーションを狙うエクササイズとしておすすめです。

ストレッチの効果をしっかり感じるためには、以下の5つのポイントを押さえておきましょう。
朝起きた時や仕事中、運動の前後など、体がこわばっているなと感じることはありませんか?
そんな時はストレッチをして筋肉や関節を緩めてみましょう。様々なシチュエーションで取り入れやすいストレッチとそのポイントをご紹介します。
動的ストレッチで筋肉や関節を事前にほぐしておくことで、運動時の動きがスムーズになってパフォーマンスがアップしたり、怪我のリスクが低減します。
実施する際は、無理に反動をつけず、自然な動きに任せてリズミカルに行うのがポイントです。
その日、上半身をトレーニングする場合は、首や肩、腕をゆっくり回す。有酸素運動や下半身をトレーニングする場合は、足を前後左右に大きく振る動きや、アキレス腱伸ばしなどを行うと良いでしょう。

運動後は、静的ストレッチを行うことで筋肉の緊張を和らげることができます。リラックス効果を得られるほか、筋肉痛予防にも効果的です。
運動前の動的ストレッチとは逆で、筋肉を20秒ほどかけてじっくり伸ばすストレッチを行いましょう。

人は寝ている間あまり体を動かさないので、起床時は体が動かしにくいと感じるのではないでしょうか。そんなときは体に「これから動くよ」と合図を送るためのストレッチをしてから1日をスタートさせると活動しやすくなります。
ゆっくりと気持ち良さを感じる程度に行うのがポイント。寝ている間に凝り固まった背中を伸ばしたり胸をそらしたりしてみましょう。

仕事中は座りっぱなしなど、長時間同じ姿勢をとることが多いと、肩周りや股関節の筋肉が硬くなりがちです。「捻る」「そらす」といった動きは、巻き肩や姿勢の改善にもつながります。1時間に1回はストレッチをして、体も気分もリフレッシュさせましょう。
手を軽く握った状態で、左右逆方向に腕を大きく回すと、自然と体がねじれ、肩周りと腰回りの緊張をほぐすことができます。2~3回回したら、逆方向もやってみましょう。
お風呂上がりは、体が温まって筋肉の柔軟性が高まっているため、ストレッチをするのに最適なタイミングです。まずはお尻周りや太ももの大きな筋肉をストレッチしてから、その日によく動かした部位を中心に全身をゆっくりと伸ばしましょう。
椅子に座って、右足首を左ひざ上に乗せた状態で前屈みになると、お尻の筋肉が引っ張られる感覚になります。これを30秒キープしたら、逆も同様に行います。

ストレッチは、場所や時間を問わずにできる、手軽な運動です。
5つのポイントを意識しながら、さまざまなシチュエーションで取り入れてみて、知らずしらずのうちに緊張して凝り固まっている筋肉を意識的にほぐしていきましょう。
<参考>